日本政策金融公庫の中小企業事業や融資制度とは?活用するメリットや手続きの方法などをご紹介

日本政策金融公庫の中小企業事業

中小企業の経営者に多い悩みの1つが、資金調達です。そのため、資金調達の手段を探している方も多いでしょう。日本政策金融公庫では、中小企業事業や融資制度を展開しているため、有効活用したいところです。ここでは、日本政策金融公庫の中小企業事業や融資制度がどのようなものなのか、活用するメリットや手続きの方法などをご紹介します。

日本政策金融公庫の中小企業事業とは

そもそも日本制作金融公庫の中小企業事業とは、どのような制度なのでしょうか。ここでは、日本政策金融公庫の中小事業の概要と国民生活事業・農林水産事業との違いを解説します。

事業の概要

日本政策金融公庫の中小企業事業とは、中小企業の成長と発展を支援するための金融サービスを提供する事業です。本事業は、資金調達のサポートを通じて、中小企業が直面するさまざまな課題を解決し、持続可能な経営を実現することが目的だといわれています。

中小企業事業のおもな内容は、以下のとおりです。

・融資業務:運転資金や設備資金の融資など、中小企業の資金ニーズに応じた融資を提供
・証券化支援業務:中小企業が発行する証券の流通を支援し、資金調達の多様化を実現
・信用保険業務:中小企業の取引先が倒産した場合に備えた保険を提供し、リスク管理をサポート

国民生活事業との違い

国民生活事業とは、日本政策金融公庫が提供する事業の1つで、主に小規模事業者や創業企業、個人事業主を対象としています。国民生活事業と中小企業事業のおもな違いは、以下のとおりです。

 国民生活事業中小企業事業
対象事業者主に個人事業主や小規模事業者資本金1,000万円以上の中小企業
融資条件無担保融資が可能高額、かつ長期の融資が中心であり、担保が必要となることが多い
融資額新型コロナウイルス感染症特別貸付の場合、最大で8,000万円新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)の場合、最大で直接貸付 15億円

参考:日本政策金融公庫/新型コロナウイルスに関する相談窓口(中小企業事業)

農林水産事業との違い

農林水産事業とは、農業、林業、水産業を営む事業者を対象とした融資制度です。

中小企業事業とのおもな違いは、以下のような点が挙げられます。

 農林水産事業中小企業事業
対象事業者農業、林業、水産業に特化しており、これらの業種に関連する設備投資や運転資金の融資を実施製造業、サービス業、商業など幅広い業種が対象  
融資の目的農地の購入や農業機械の導入など、特定の業種に特化した資金ニーズに対応一般的な事業運営や成長のための資金を提供  
融資額数百万円~10億円(民間金融機関との協調融資の状況に応じ30億円)新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)の場合、最大で直接貸付 15億円

参考:農林水産省/農業経営改善関係資金の概要

日本政策金融公庫の融資制度とは

ここからは、日本政策金融公庫の融資制度の概要と条件をご紹介します。

融資制度の概要

日本政策金融公庫は、政府が設立した金融機関であり、中小企業、個人事業主、農林漁業者などに対して多様な融資制度を提供しています。これらの融資制度は、事業の成長や安定を支援するために設計されており、低金利や無担保での融資が特徴です。

特に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けの特別融資制度も設けられており、経済的な困難に直面している事業者を支援しています。日本公庫の融資制度には、一般的な事業資金のほか、設備資金や運転資金、さらには新規事業の立ち上げや事業再生を支援するための特別な融資制度もあります。事業者は自分のニーズに合った融資を選択することが可能です。また、融資の申請手続きも比較的簡便であり、オンラインでの申請も行えます。

融資の条件

日本政策金融公庫の融資を受けるためには、いくつかの条件を満たさなくてはなりません。おもな条件としては、事業の規模や業種、事業の開始時期などが挙げられます。例えば、中小企業向けの融資制度では、事業開始後おおむね7年以内の企業や、革新的なビジネスモデルを持つ企業が対象です。また、農林漁業者向けの融資制度では、農業や漁業に従事していることが条件とされています。

さらに融資を受けるためには、財務状況や事業計画の提出も必要です。例えば、過去の財務諸表や将来の収支計画、事業の成長戦略などを詳細に記載した書類を提出することが求められます。融資の返済期間や金利も、事業の状況や融資の種類によって異なるため注意が必要です。

中小企業が日本政策金融公庫の中小企業事業や融資制度を活用する6つのメリット

中小企業が日本政策金融公庫の中小企業事業や融資制度を活用することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、6つのメリットをご紹介します。

1.融資が受けやすい

日本政策金融公庫は、創業初期の企業や中小企業に対しても積極的に融資を行っています。民間の金融機関に比べて、審査が通りやすい点は特徴です。

2.無担保・無保証の融資制度

無担保・無保証で融資を受けられる制度があり、特に新規事業やスタートアップにとって大きな助けとなるでしょう。

3.低金利

日本政策金融公庫の融資は、一般的に民間の金融機関よりも低金利で提供されることが多いです。そのため、返済負担が軽減される点はメリットだといえます。

4.長期返済期間

返済期間が長めに設定されているため、資金繰りが安定しやすくなるのもメリットです。特に設備資金などの長期的な投資に対しては有利でしょう。

5.多様な融資制度

日本政策金融公庫は、中小企業向けに多様な融資制度を提供しています。例えば、新事業育成資金、女性・若者・シニア起業家支援資金、再挑戦支援資金などが一般的です。

6.経営支援

融資だけでなく、経営に関するアドバイスやサポートも提供しています。企業の成長を総合的に支援してもらえるのがメリットです。

日本政策金融公庫の融資制度に申請する方法

日本政策金融公庫の融資制度を利用するためには、申請が必要です。以下でおおまかな流れをご紹介します。

事前準備

まず、必要な書類を準備します。一般的に必要な書類は、以下のとおりです。

・借入申込書 ・住民票の写し、または住民票記載事項証明書
・運転免許証、またはパスポート ・源泉徴収票、または確定申告書(控)
・預金通帳や領収書など支払い状況のわかるもの(最近6か月分以上)

相談

融資を申し込む前には、最寄りの日本政策金融公庫の支店やビジネスサポートプラザで相談することがおすすめです。事業計画の立て方や融資申込の流れなどについて、丁寧に説明してもらえるでしょう。

申込方法

日本政策金融公庫では、インターネット申込が可能です。24時間365日利用できます。

申込手続き

インターネット申込を利用する場合、以下の手順で進めましょう。

・公式サイトにアクセスし、インターネット申込ページへ移動
・必要事項を入力し、書類を添付
・申込内容を確認し、送信

審査と結果通知

申込が完了すると、審査が実施されます。審査結果は、申込時に登録したメールアドレスに通知されるので、適宜確認しましょう。

融資の振り込み

審査に通過した場合、融資契約が完了し、指定の口座に融資金が振り込まれます。

まとめ

日本政策金融公庫の中小企業事業や融資制度は、中小企業の成長を支援するために運転資金や設備資金の融資、証券化支援、信用保険を提供する事業です。融資のメリットとして、低金利や無担保融資、長期返済期間があり、経営支援も行っています。申請手続きはオンラインで簡便に行え、必要書類を準備し審査を受けた後、融資が振り込まれます。これらの制度を、事業の成長に役立ててもらえれば何よりです。

また、安定した事業展開を実現するためには、優れた税理士の存在も欠かせません。税理士を探す際には、税理士紹介ドットコムの活用をおすすめします。手数料なども一切不要で、北は北海道から南は沖縄まで、全国ご希望のエリアで税理士をご紹介することが可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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