初めて税理士に仕事の依頼を検討している経営者や個人事業主さまは、税理士報酬がどの程度の相場かわからず困るケースも多いと思います。一方、すでに税理士と顧問契約をしている場合においても、報酬の相場から大きくかけ離れているなど無駄なコストが発生している可能性があるでしょう。
そこで今回は、税理士報酬の相場や報酬が変化するポイント、安く抑えるためのポイントを紹介します。これから税理士に依頼する方だけでなく、すでに顧問契約を結んでいる方も必見です。
目次
税理士報酬はいくつかのポイントで変化します。どのようなポイントがあるのか確認しておきましょう。
税理士に仕事を依頼するパターンは、顧問契約とスポット契約の2種類があります。
顧問契約とは、特定の税理士と契約して、継続して仕事を依頼する方式です。一方、スポット契約は、決算や確定申告などの業務を単発で依頼する方式です。
顧問契約は毎月一定の金額を支払うことで、事前に取り決めた範囲内で業務を行ってくれます。税務に関する相談がいつでもできる点はメリットだといえますが、毎月税理士報酬が発生する点がデメリットです。また、業務内容によっては、追加料金が発生する場合もあります。
スポット契約は必要なときだけ、税理士に業務を依頼できる点がメリットです。ただし、自社の会計処理を細かく理解していないため、会計処理に間違いが発生する可能性が増える点や、適切な決算書が作りづらい点がデメリットです。
税理士の業務量が増えると、当然ながら税理士報酬も高くなります。そのため、依頼時に顧問契約の範囲内で実施してもらえる業務量と、追加報酬が必要になる業務量の基準を、事前に税理士と話あっておくことが重要です。
企業側の帳簿の状態も、税理士報酬が変動する要素のひとつです。例えば、会計ソフトを使用して基本的な会計処理が行われている場合と、何も作業が行われておらず領収書から丸投げする場合とでは、税理士報酬の額が大きく異なります。
税理士との打ち合わせの頻度が多いほど、税理士報酬も高くなります。ただし、税理士は定期的に打ち合わせをしなければ、有効活用することが難しいでしょう。そのため、最低でも四半期に1回程度は、税理士と打ち合わせを実施することをおすすめします。
税理士報酬の相場がどの程度なのか、顧問契約とスポット契約でそれぞれ紹介します。
税理士と顧問契約した場合の報酬相場は、法人の場合が月額3~5万円程度で、決算報酬の相場は年額で10~30万円程度です。一方、個人事業主の場合、顧問契約の相場は月額1~3万円程度、決算報酬の相場が年額で8~15万円程度といわれています。
なお、年間売上と打ち合わせ回数に応じた顧問契約時の税理士報酬の相場は、以下の通りです。
年間売上高 | 訪問回数 | 月額顧問料 | 記帳代行 | 決算料 |
---|---|---|---|---|
年商1,000万円未満 | 3か月に一度 | 15,000円~ | +5,000円~ | 100,000円~ |
6か月に一度 | 10,000円~ | |||
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
3か月に一度 | 20,000円~ | +5,000円~ | 120,000円~ |
6か月に一度 | 15,000円~ | |||
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月 | 25,000円~ | +5,000円~ | 150,000円~ |
3か月に一度 | 20,000円~ | |||
6か月に一度 | 15,000円~ | |||
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月 | 30,000円~ | +10,000円~ | 150,000円~ |
3か月に一度 | 25,000円~ | |||
6か月に一度 | 20,000円~ | |||
1億円以上 5億円未満 |
毎月 | 30,000~50,000円 | 200,000円~ | |
年商5億円以上 10億円未満 |
毎月 | 45,000円~ | 250,000円~ | |
年商10億円以上 | 要相談 |
年間売上高 | 訪問回数 | 月額顧問料 | 記帳代行 | 決算料 |
---|---|---|---|---|
年商500万円未満 | 確定申告のみ | 70,000円~ | ||
年商500万円以上 1,000万円未満 |
3か月に一度 | 10,000円~ | +5,000円~ | +確定申告料 |
確定申告のみ | 100,000円~ | |||
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
3か月に一度 | 25,000円~ | +5,000円~ | +確定申告料 |
6か月に一度 | 15,000円~ | +確定申告料 | ||
確定申告のみ | 150,000円~ | |||
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月 | 25,000円~ | 10,000円~ | +確定申告料 |
3か月に一度 | 20,000円~ | +確定申告料 | ||
6か月に一度 | 15,000円~ | +確定申告料 | ||
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月 | 30,000円~ | 10,000円~ | +確定申告料 |
3か月に一度 | 20,000円~ | +確定申告料 | ||
年商10億円以上 | 要相談 |
おもなスポット契約の税理士報酬の相場は以下の通りです。ただし、前述したポイントに応じて税理士報酬は変化するため、事前に確認しておきましょう。
決算申告 | 10~30万円程度 |
---|---|
個人の確定申告 | 3~20万円程度 |
年末調整 | 従業員10人まで基本料金2万円程度(1人増えるごとに1,000円追加) |
記帳代行 | 1仕訳あたり50〜100円程度、仕訳数300で2.5~3万円程度 |
給与計算 | 1,000円/人程度 |
株式会社設立 | 税理士報酬部分は2~5万円程度
税理士依頼分の他に、最低20.2万円の登録免許税が必ず発生 |
合同会社設立 | 税理士報酬部分は2~5万円程度
税理士依頼分の他に、最低6万円の登録免許税が必ず発生 |
資金調達 | 着手金3~5万円程度、成功報酬は資金調達額の2~5%程度 |
補助金・助成金 | 着手金なしで成功報酬15~30%程度 |
税理士報酬を安く抑えるために実施するべきアクションを紹介するので、ぜひ実践してみてください。
会計ソフトで入力したデータを税理士に渡すことで入力の手間が省けるため、税理士報酬が安く抑えられます。また、データのやり取りはメールで行えますので、税理士が移動する時間や手間も省け、さらなる税理士報酬の減少につながるでしょう。
会計ソフトを使って日頃からデータ入力を行っていれば、税理士側の業務はデータ内容のチェックがメインになるため大幅な工数の削減につながります。もし入力内容にミスがあった場合でも、税理士が指摘して修正してくれるため、データの精度を上げることが可能です。
税理士に依頼する作業内容と、それに伴う報酬の内訳を可視化してもらうことも、税理士報酬を抑えるための重要なポイントです。
まず、税理士へ依頼したい業務内容の詳細を事前に伝えておきましょう。「見積もり時に比べて大幅に税理士報酬が高くなった……」というトラブルに発展させないためにも、依頼したい業務内容や年間の売上、業務量、従業員数、帳簿の状態などを、事前に詳しく伝えておくことが重要です。
見積もりが来たら、税理士報酬の月額や年額だけでなく、具体的にどのような業務内容が含まれるのか、また追加費用が発生する業務とその報酬内訳なども確認させてもらいましょう。依頼したい業務全体に必要な費用感を把握することが大切です。
複数の税理士事務所から見積もりを取り、その上で料金交渉を実施することも税理士報酬を抑えるためには欠かせない作業です。どれだけ詳細な見積もりがあがってきたとしても、1つの税理士事務所だけでは比較対象がないため、適正価格なのか判断がつきません。
よって、依頼しようとする税理士事務所と報酬の交渉をする際には、相見積もりを取っておいたほうが、よりスムーズに調整が進められるでしょう。また、現在顧問契約している税理士事務所と報酬の交渉をするためにも、相見積もりは有効なので準備しておくと安心です。
税理士に来てもらう手間や打ち合わせの回数を減らすことで、移動や打ち合わせの工数と交通費を削減して税理士報酬を安く抑えられます。
具体的には、税理士とのやり取りをメールやLINEなどのチャットツールで行うことで、移動の手間が省くことが可能です。また、最近はZOOMなどのWEB会議システムを活用できますので、リモートでも対面と変わらないレベルの打ち合わせが実施できます。
税理士報酬は法人と個人事業主、売上規模、依頼する業務内容などによって変化します。弁護士報酬の相場を理解しておくことで、適正な費用で業務を依頼することが可能です。これから税理士との顧問契約や業務の依頼を検討されている方は、今回紹介した相場を参考に適切な税理士事務所を見極めてもらえれば何よりです。