地方税とは?国税との違いや賦課・徴収ルール、種類などについて解説

地方税

法人や自営業でビジネスを展開する場合、国税とは別に地方税も支払う必要があります。両者は混同されることも多く、それぞれの違いを詳しく理解している方は少ないかもしれません。そこで今回は、地方税がどのようなものなのか、国税との違いや賦課・徴収ルール、種類などを掘り下げて解説します。

地方税法とは

地方税法とは、都道府県および市町村が課す税金について定めた法律です。この法律に基づき住民税(道府県民税・市町村民税)や事業税、地方消費税、不動産取得税、自動車税、軽自動車税、固定資産税、都市計画税など、さまざまな税目が規定されています。

地方税を納付しない場合、延滞金や過少申告加算金、不申告加算金、重加算金が課されることがあり、滞納処分によって強制的に徴収されることもあります。納付義務のある地方税を確認し、適切に申告・納付を行うことが重要です。

参考:e-Gov法令検索/地方税制

地方税と国税の違い

日本の税制度では、税金は大きく国税と地方税の2つに分けられます。国税は、国が徴収する税金で、おもなものとしては以下のとおりです。

・所得税
・法人税
・相続税
・贈与税
・消費税
・印紙税
・酒税
・登録免許税
・自動車重量税

一方、地方税は、都道府県や市町村などの地方公共団体が徴収する税金です。具体的には、「国税」は国がかける税金で、「地方税」は都道府県や市町村などの地方自治体がかける税金だといえます。つまり、「国税」と「地方税」では、税金を徴収する団体が異なるわけです。

例えば所得税や消費税など、日本で生活する上での原則的な税金が国税です。一方、固定資産税、自動車税など保有の個人差があるものは、住んで生活する地域ごとに地方税を課せられます。

地方税の賦課・徴収ルール

地方税がどのようなものかを理解するためには、賦課と徴収について把握しなくてはなりません。ここでは、地方税の賦課・徴収ルールをご紹介します。

賦課と徴収について

賦課とは、特定の人に対して負担すべき税額を決定する行為です。一方、徴収とは、賦課された税額を納付させることをさします。

地方税の賦課・徴収の基本原則

地方税の賦課・徴収に関する規定は、以下の5つの原則に基づいて定められています。

・応益性の原則:住民は地方公共団体の提供する行政サービスから利益を享受するため、その利益に応じた税負担をするべきという考え方
・安定性の原則:行政サービスに対する需要や費用は常に発生するため、景気の影響を受けずに、地方公共団体が安定した税収を確保できるようにするという考え方
・普遍性の原則:すべての地方公共団体が一定水準以上の行政サービスを提供できるよう、特定の地域に税収が集中せず、均等に税収を得られるようにする考え方
・負担分任の原則:地方税は、住民が地域社会の運営に必要な負担を分担する「地域の会費」としての性格を持つという考え方
・自主性の原則:地方自治の理念を尊重し、地方公共団体が自らの判断と責任に基づいて課税権を行使すべきだという考え方

地方税の納付を怠った場合のペナルティ

地方税を納付しない場合、本税に加えて延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金が発生することがあり、さらに滞納処分により強制的に徴収されることもあります。

参考:総務省/地方税の仕組み

参考:総務省/地方税の意義と役割

地方税の種類と課税額

地方税には、具体的にどの税金が該当するのでしょうか。ここでは、おもな地方税の種類と課税額をご紹介します。

個人住民税

個人住民税とは、地域に居住する個人に課される税金の一部です。課税されるのは「所得割」と「均等割」の2つの項目です。

個人住民税の所得割は、所得に対して10%の税率が適用されます。(内訳は道府県民税が4%、市町村民税が6%)均等割の税額は4,000円で、その内訳は道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円です。

参考:総務省/個人住民税

法人住民税

法人住民税は、法人がその所在地の地方自治体に納める税金です。個人住民税と同様に、計算方法や納付期限が異なる場合があります。

資本金が5,000万円の法人では、従業員数が50人を超える場合に15万円、50人以下の場合は13万円が課されます。また資本金1億円超の法人には、付加価値額に基づく付加価値割、資本金等に基づく資本割、所得に基づく所得割が課されますが、資本金1億円以下の法人などには、所得割のみが課されるルールです。

参考:総務省/法人住民税・法人事業税

事業税

事業税とは、個人事業主が地方税として納める税金です。事業税は、事業所得に所得税の事業専従者給与(控除)額を加え、個人事業税の事業専従者給与(控除)額や青色申告特別控除額を差し引いた後、さらに各種控除を行い、その結果に税率を掛けて計算されます。

参考:総務省/法人住民税・法人事業税

固定資産税

固定資産税は、土地や建物の所有者に対して課される地方税です。課税対象は土地、建物、有形償却資産であり、土地と建物については登記簿などにより、市町村がその実態を把握できます。

固定資産税は、「課税標準額」に「税率」を掛けて計算されます。例えば、2021年1月1日時点での土地の評価額が1,000万円であり、標準税率が適用される場合、その年の固定資産税は14万円です。

参考:総務省/固定資産税の概要

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内に土地や建物を所有している人に毎年課される地方税で、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられるものです。

都市計画税の税額は、固定資産税の課税標準額(固定資産評価基準に基づいて算定された土地や家屋の価格)に税率を掛けて計算されます。税率は0.3%までとされているが、減免措置や計算方法は自治体によって異なる場合があります。

参考:総務省/都市計画税

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物を取得した際に個人や法人に課される地方税です。不動産取得税は、不動産の価格(課税標準額)に4%の税率を掛けて計算されますが、令和9年3月31日までに取得された土地や住宅については3%に軽減されます。

参考:総務省/不動産取得税

自動車税

自動車税は、道路運送車両法第4条の規定により登録された自動車に対し、その主たる定置場所がある都道府県で、4月1日時点の所有者に課される税金です。自動車税の額は、車種や排気量によって異なりますが、例えば排気量が1,000cc以下の自家用乗用車の場合、年額は29,500円となります。

参考:総務省/自動車税・軽自動車税環境性能割

軽自動車税

軽自動車税は、軽自動車やバイクなどに対して課される税金で、主たる定置場所がある市町村で、4月1日時点の所有者に対して課税されるものです。軽自動車税は、使用目的や車種により税額が異なります。例えば、2015年4月以前に初度登録された自家用乗用軽自動車の場合、税額は7,200円です。

参考:総務省/自動車税・軽自動車税環境性能割

参考:国税庁/No.9000 国税と地方税の種類

まとめ

地方税とは、都道府県や市町村が課す税金です。国税と異なり、地域ごとに課されます。おもな地方税は、個人住民税、法人住民税、事業税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、自動車税、軽自動車税などです。地方税の賦課・徴収は、自治体のサービス提供に基づく負担を分担する原則に従い、適切に行われ、納付しない場合は延滞金や加算金が発生することもあります。顧問税理にも相談し、適切に納税できるよう調整しましょう。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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