近年、日本でも企業がしやすくなった影響で、サラリーマンから独立して起業する方が増えました。しかし、起業するためのノウハウや資金が乏しく、実行に移せない方も多いでしょう。そのような場合に活用したい制度が、独立支援制度です。ここでは、独立支援制度がどのような制度なのか、概要やメリット、フランチャイズとの違いなどについてご紹介します。
目次
そもそも、独立支援制度とはどのような制度なのでしょうか。ここでは、制度の概要とフランチャイズ・のれん分けとの違い、制度の活用に適した業界をご紹介します。
独立支援制度とは、企業が社員の独立をサポートする制度です。社員が一定期間企業で経験を積んだ後、独立する際に必要な資金やノウハウを提供します。例えば、企業の屋号や商標を使用する権利を与えられることや、経営に関するアドバイスや人材の確保を支援してもらえる点が特徴です。
独立支援制度とフランチャイズの大きな違いは、独立支援制度では社員が一定期間企業で働く必要がある点です。一方、フランチャイズは、資金さえあれば誰でも加盟できることに対し、独立支援制度は企業内での経験が求められます。
また、独立支援制度では企業のブランド力やノウハウを活用できるため、独立後も安定した経営が期待できる点も違いです。
のれん分けとは、長年の信頼関係に基づいて、師匠が弟子に自由な独立・経営を許可する制度です。のれん分けは、より個人的な関係に基づく一方、独立支援制度は企業全体の支援体制が整っている点は違いです。
独立支援制度は、特に飲食業や美容・介護などのサービス業、薬局業界などでよく利用されています。これらの業界では、現場での経験やスキルが重要であり、企業内での研修や実務経験を通じて独立に必要な知識を身につけることが可能です。また、企業のブランド力を活用することで、独立後の集客や経営がスムーズに進む効果も期待できます。
独立支援制度を活用することで得られるメリットは、以下のとおりです。
・経営ノウハウの習得 ・相談しやすい環境 ・ブランド力の有効活用 ・資金面のサポート ・モチベーションの向上 |
それぞれの内容を解説します。
独立支援制度を利用することで、会社で働きながら経営に関するノウハウを学べる点が大きなメリットです。例えば、日々の業務を通じて経営戦略の立案や実行、財務管理、人材育成など、経営に必要なスキルを実践的に学べます。独立後の経営がスムーズに進む可能性が高くなり、失敗のリスクを減らせるでしょう。
経営に関する悩みや問題が発生した際に、本部に相談できる環境が整っている点も、独立支援制度の大きなメリットです。例えば、売上が思うように伸びない場合や、従業員の管理に困った場合など、さまざまな経営課題に対して本部からアドバイスを受けられます。独立後も安心して経営を続けやすくなるでしょう。
独立支援制度を利用することにより、本部のブランド力も活用できます。独立直後は知名度が低いため、集客に苦労することも多いですが、本部のブランド力を借りることでその問題を解消できるため安心です。例えば、既に確立されたブランド名やロゴを使用することで、顧客からの信頼を得やすくなり、集客がしやすくなります。そのため、経営が安定しやすくなる点はメリットです。
独立に必要な資金や人材の提供を受けられる場合があることも、独立支援制度の特徴です。例えば、初期投資が必要な設備や店舗の準備資金を、本部が一部負担してくれることもあります。また、必要な人材の採用やトレーニングもサポートしてくれるため、独立のハードルが下がり、スムーズに独立しやすいでしょう。
将来的に独立を目指す社員にとって、独立支援制度は大きなモチベーションとなりえます。独立の目標が明確になることで、日々の業務に対する意欲が高まり、結果として社員の定着率が向上します。また、独立を目指す社員が増えることで、会社全体の活気が増し、企業側にも大きなメリットが生まれます。その結果、企業全体の成長にもつながるでしょう。
多くのメリットが得られる独立支援制度ですが、注意点もあります。ここでは、独立支援制度を活用するときの注意点を確認しておきましょう。
独立には初期投資が必要です。自己資金の準備や、必要に応じて融資を受ける資金計画の立案が求められます。資金不足が独立のボトルネックになることが多いため、適切な資金計画の立案が不可欠です。
独立支援制度を利用する際には、契約内容を詳細に確認することも重要です。特に、ロイヤリティや加盟金、サポート内容などの条件を理解し、納得した上で契約を結ばなくてはなりません。
独立後の経営リスクを理解し、適切なリスク管理策を講じることが必要です。市場の変動や経営環境の変化に対応できるよう、柔軟な経営戦略を持つことが求められます。
独立後も継続的にサポートが受けられるかどうかを確認することも欠かせません。経営相談やマーケティング支援など、必要なサポートを受けられる体制が整っているかが重要です。
独立後の事業運営には、信頼できる従業員の確保が不可欠です。独立支援制度を利用する場合でも、従業員の雇用や育成について計画を立てなくてはなりません。
起業を支援する制度は独立支援制度以外にも、多くの種類があるため、制度の理解と適切なものを選択することが重要です。例えば、企業が提供する「のれん分け」や「社内フランチャイズ」などの制度や、国や自治体が提供する創業支援制度もあります。自身の状況や目標に合った制度を選ぶことが大切です。ここでは、国や公的機関、自治体による独立支援制度をご紹介します。
国や公的機関が提供する独立支援制度には、以下のようなものが挙げられます。
・独立行政法人中小企業基盤整備機構:中小企業や小規模事業者を対象に、創業支援や経営相談を行っている。専門家によるアドバイスや、資金調達のサポートが受けられる点が特徴 ・日本政策金融公庫:新規開業資金の貸付を行い、女性や若者、シニアの起業をサポート ・経営革新等支援機関:中小企業庁から認定された機関で、経営改善計画の策定や資金調達をサポート |
各自治体も、独自の独立支援制度を提供しています。地域の特性やニーズに応じた支援を行うことが特徴です。おもな制度は、以下のとおりです。
・特定創業支援事業:市区町村が実施する創業支援事業で、創業セミナーや経営相談を通じて、起業家をサポート ・県制度融資:例えば千葉県では、県独自の融資制度を設けており、低金利での資金調達が可能 |
独立支援制度は、企業が社員の独立をサポートする制度です。起業に必要な資金や経営ノウハウの提供、商標の使用権などを支援します。フランチャイズとは異なり、社員として一定期間働く必要があり、企業のブランド力を活用できる点が特徴です。主に飲食業や美容業などで利用され、経営ノウハウの習得、相談体制、資金サポートがメリットです。しかし、資金計画や契約内容の確認など、適切な準備が求められます。
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