税理士と公認会計士の年収事情|年収を増やす方法も解説

税理士・公認会計士として働きたいものの、どの程度の年収を得られるのか気になる方は多いでしょう。雇用形態で異なりますが、一般的には比較的高い水準とされています。ここでは、税理士と公認会計士の年収事情を解説するとともに、年収アップの方法についても紹介します。

税理士・公認会計士の年収

税理士・公認会計士の年収は、厚生労働省が公表している「賃金基本統計調査(令和2年版)」が参考になります。ただし、税理士と公認会計士それぞれの年収データは存在しません。税理士・公認会計士の平均年収は約621万円です。平均年収600万円以上の職種は129職種のうち13職種のみのため、比較的高収入な職種と言えるでしょう。

ただし、調査対象は雇用されている税理士・公認会計士で、個人事務所の開業者の収入は含まれていません。

また、日本税理士会連合会が2015年に公表した「税理士実態調査報告書」によると、年収500万円以上の開業税理士の割合が48.1%、年収1,000万円以上は約21%、社員税理士は約38%でした。このように、独立開業した税理士よりも法人・個人事務所に勤務する社員税理士の方が高収入の人の割合が多いことがわかっています。


出典:厚生労働省「賃金基本統計調査(令和2年版)

出典:日本税理士会連合会「第6回税理士実態調査報告書

税理士・公認会計士の年収が決まる要因

税理士・公認会計士の年収は、スキルや実務経験、年齢など、さまざまな要因で決まります。そのため、自身の年収相場を正確に把握することは困難です。ただし、次のような要因で決まるため、これらを意識しておくとよいでしょう。

スキル

税理士・公認会計士としての知識・アドバイスの質など、スキルが年収に反映されます。スキルはピンキリであることをクライアントも理解している場合、スキルが高い税理士・公認会計士を有する事務所が重宝されるでしょう。そのため、会計事務所としても高いスキルを持つ人物には、多くの給与を支払います。

実務経験

税理士・公認会計士が税務や監査などを適切に行うには、スキルだけではなく実務経験も必要です。さまざまなトラブル、ケースに対応できる税理士・公認会計士は重宝されます。反対に、実務経験に乏しい場合は、経験豊富な人物とペアで行動し、経験を積むことが求められます。なお、教育コストがかかるため、それだけ年収は低くなりやすいでしょう。

年齢

税理士・公認会計士は年功序列の側面があるため、年齢が上がるにつれて年収も上がる場合があります。完全実力主義の事務所もあるため、年齢面で優遇されたい場合は事務所の方針を確認しておくことが大切です。

業務内容

会計事務所や税理士法人などによって行っている業務に若干の違いがみられます。基本的な業務は同じですが、監査メイン、手続き代行がメイン、コンサルティングがメインなど、業務に割くリソースの配分が異なります。

コンサルティングはクライアントに大きな利益をもたらすため、それだけ高収入に設定している事務所が多い傾向があります。

税理士・公認会計士が年収を増やすには、ここまでに解説した年収が決まる要因を踏まえ、行動する必要があります。どのように行動すれば年収が増えるのが詳しく解説します。

転職する

職場によって給与水準が異なるため、今働いている会計事務所よりも給与が高い事務所に転職する方法があります。日本にはBIG4と呼ばれる監査法人があり、いずれも給与水準が高いため、多くのケースで高収入を実現できます。

昇格によって収入アップを狙う方法もありますが、転職の場合は採用されさえすれば収入が上がるため、少しでも早く年収を増やしたい場合におすすめの方法です。

スキルを高める

税理士・公認会計士としてのスキルを高めることで、さまざまな事務所から引く手あまたになれるでしょう。その結果、年収交渉の成功率が高まり、より多くの収入を得られるようになります。特定の分野におけるスペシャリストを目指すか、あらゆる業務を平均以上のレベルで行える税理士・公認会計士を目指すか選びましょう。

勤続年数をなるべく増やす

勤続年数が給与に反映される職場の場合は、長く勤めて給与アップを狙うのも1つの方法です。ただし、数年が経過しても給与が数万円も上がらないケースもあるため、年収を大きく増やしたい場合にはおすすめできません。また、小さな個人事務所は後継者問題や顧客離れなどによって廃業するリスクが比較的高いため、長く勤めて年収アップを狙うことは現実的ではないでしょう。

他の方法と組み合わせて、年収を効率的に上げることを意識してみてください。

昇格する

税理士法人や会計事務所の中でも規模が大きいところに転職すれば、役職ポジションに昇格することで年収アップを狙えます。従業員数が数十人から100人以上の事務所を探しましょう。ただし、昇格の基準が年功序列の場合は、どうしても既存の社員が優先的に昇格するため、実力主義の事務所を選ぶことがポイントです。

独立開業する

税理士や公認会計士として独立開業すれば、会社員よりも多くの収入が見込めます。ただし、顧客は全て自分で契約する必要があるため、安定するまでに時間がかかる可能性があります。また、個人事業には向き不向きがあるため、思うように収益を得られずに結局は会社員に戻るケースも少なくありません。

独立開業するのであれば、開業後も関係を継続できる顧客を十分に確保することが必須です。目安としては5年ほどの経験を積むことで、1人でも税理士・公認会計士として十分な質の業務を行えるようになるでしょう。

コンサルティング業務の割合を増やす

税理士・公認会計士は、節税や経営のコンサルティングを行えます。コンサルティング業務は顧客の収入を増やす業務であるため、代行業務と比べて報酬が高い傾向にあります。それだけコンサルティング業務を行える税理士・公認会計士の収入は高くなるでしょう。

独立開業してコンサルティング業務をメインに行えば、より多くの収入を得られる可能性があります。ただし、コンサルティング業務は代行業務と比べて需要が低いため、顧客がなかなか見つからないケースが少なくありません。まずは、代行業務を主軸に事業の基盤を整えて、少しずつコンサルティング業務の割合を増やすのも1つの方法です。

複数の方法を組み合わせて年収アップを狙おう

税理士・公認会計士が年収を増やすには、スキルを高めて実務経験を積み、より待遇が良い事務所へ転職する必要があります。複数の方法を組み合わせることで、効率的に年収アップを狙えます。これから税理士・公認会計士を目指すのであれば、年収事情を把握したうえで検討することが大切です。また、自身の給与が平均よりも低いことがわかった場合は、年収を増やすために早めに行動を始めることをおすすめします。

この記事の著者

加藤良大

歴10年フリーライター。執筆実績は2万本以上。M&A、税務、法律、不動産など専 門的なジャンルの記事を数多く執筆。監修する専門家、クライアントから高評価 を得ている。

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