「会計事務所で働きたい」、「業務内容を確認したうえで依頼を検討したい」といった場合は、会計事務所の基本情報を確認しましょう。会計事務所という名称ですが、公認会計士だけではなく税理士も在籍しています。ここでは、会計事務所の定義から種類、働き方、求められるスキルまで詳しく解説します。
目次
会計事務所とは、税務相談や税務申告業務、記帳代行など、税務および会計のサービスを提供する企業・個人事業主のことです。なお、公認会計士5人以上で設立できる「監査法人」を会計事務所と呼ぶ場合もあります。
会計事務所は税理士・公認会計士の有資格者が運営しており、それぞれの独占業務をはじめとしたさまざまな業務を行っています。近年は、M&Aの仲介業務やデューデリジェンスを行う会計事務所が増加傾向にあり、M&Aが活発化していることから、今後ますます需要が高まると考えられます。
会計事務所には、監査法人・税理士法人・個人事務所・手続き代行特化の事務所があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
監査法人は、会計監査や会計関連のコンサルティングを行う法人のことです。中小企業から大企業まで多くの顧客を持つ監査法人は、経営の安定性が高いと言えるでしょう。なお、コンサルティングの質はピンキリのため、得意分野や実績を元に慎重に選ぶことが大切です。
税理士法人とは、2名以上の税理士が共同で設立する法人です。個人の会計事務所と業務内容は同じですが、法人のため社会保険に加入できます。税理士法人の規模はピンキリで、地域密着型から都市圏で多くの顧客を抱える法人までさまざまです。
個人の会計事務所は、税理士・公認会計士が独立開業した形態のことです。一般的に、事務所がある地域に密着した業務を行いますが、弁護士事務所や社会保険労務士事務所、司法書士事務所などと提携し、幅広い業務を提供している事務所もあります。
会計データの入力、タックスプランニング、給与計算や社会保険手続きなどの代行に特化した会計事務所もあります。外資系企業に強い事務所のように、特定の分野に特化することで多くの顧客を抱えることができます。
会計事務所の仕事内容は全事務所で共通していますが、業務に割くリソースの配分や得意・不得意は異なります。会計事務所の仕事内容について詳しく見ていきましょう。
税務・会計に関する相談を受けたり、クライアントの規模や経理体制などを踏まえ、ベストな選択を提案したりします。相談の時点では契約は確定ではありません。
経理担当者がいないクライアントの記帳代行業務を行います。原始資料や会計帳簿などを預かり、損益計算書や賃借対照表などを作成します。月次決算から年次決算までトータル的に代行することが一般的です。
経理担当者がいるものの、会計処理や税務処理を適切に行われているか不安なクライアントに対し、監査業務を遂行します。内容に問題があった場合、それを気に記帳代行や決算業務などを依頼される可能性があります。
また、経営に関する相談を受けたり、節税対策をアドバイスしたりすることも業務の1つです。巡回監査業務は定期的に行うため、収益の安定に繋がりやすいでしょう。長い付き合いになるため、監査業務を任せる会計事務所は慎重に選ぶべきです。
1年間の会計データに基づいた税務申告書を作成します。所得税、法人税、消費税が対象であり、それぞれの節税のアドバイスも行うケースがあります。また、法人代表者の相続税に関しても対応・アドバイスすることが一般的です。
中には、各種保険への加入を推奨したり、リタイア後の生活における税金対策を提案したりする会計事務所もあります。
会計事務所で働きたい場合、税務・会計のスキルが求められます。電話対応限定のスタッフであれば、カスタマーセンターをはじめとしたお客様対応の経験者が重宝されるでしょう。しかし、多くの会計事務所は税理士・公認会計士、一般事務で構成されています。それでは、会計事務所で働く際に求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。
税理士は、税務の専門家として税務業務を代行するために必要な資格です。税理士の資格を持たない人物が節税対策の相談を受けたり納税を代行したりすることは法律で認められていません。そのため、会計事務所で税務業務を行いたい場合は税理士の資格が必須です。
公認会計士は、主に企業の監査を行うために必要な資格です。独立した立場で監査意見を表明し、クライアントの会計帳簿をはじめとした財務情報の信頼性を証明します。なお、税理士登録することで税務業務も行えるようになります。
このように、税務を行うには税理士資格、監査を行うには公認会計士資格が必要です。
税理士・公認会計士の資格を取得しただけでは、クライアントを満足させられる業務を提供できるとは限りません。そのため、多くの会計事務所では実務経験を求めています。ただし、開業したてで十分な報酬を出せない個人事務所は、未経験でも税理士・公認会計士を募集することがあります。一般的に求められる経験年数は1年~3年以上です。
会計事務所は、税理士・公認会計士でなくても働ける場合があります。また、1日の働く時間や月間労働日数、期間などもさまざまです。会計事務所での働き方について詳しく見ていきましょう。
会計事務所は、税理士・公認会計士の資格保有者が働くところですが、同資格の取得を目指しながら経験を積むこともできます。ただし、税務・監査業務はできないため、付随する無資格でも行える業務を担当することになります。しかしながら、間近で実務を学びながら税理士・公認会計士の資格取得を目指せるのは大きな魅力でしょう。
税理士・公認会計士の資格を持っている場合、会計事務所で期間限定で働く方法を選択できます。年末調整や確定申告、決算時期などは追加で期間限定社員を募集することがあります。個人で税理士・公認会計士として事務所を構えている場合、繁忙期に他の事務所の期間限定社員になれば収入を補えるでしょう。
会計事務所の業務内容によっては、在宅でも働くことができます。例えば、データ入力、オンライン通話による税務アドバイスなどは在宅で行えるでしょう。ただし、在宅就業を許可している会計事務所はそれほど多くないため、事前に確認が必要です。
会計事務所への相談や転職を検討しているのであれば、会計事務所の定義から業務内容、求められるスキルまで確認することが大切です。相談側としても、会計事務所の内情を知っておくことで、選ぶ際に注意すべきことが見えてくるでしょう。
信頼できる税理士を探したい、M&Aのサポート実績が豊富な税理士に相談したい方は、税理士紹介ドットコムをご活用ください。
私はかれこれこの仕事を20年以上行っておりますが、会計事務所の必要スキルとはなんだろうと考えたときに、経理・会計・税務など幅広い知識が必要となります。税理士は、中小企業の税務申告の代理を行っているので、それにまつわる経営相談や経理の相談も受けるためです。
資格でいえば簿記2級です。税法の知識でいえば、主に所得税法・法人税法・消費税法・相続税法(国税4法)の簡単な基礎知識です。またエクセル・ワードなどの事務スキルも必要です。これができれば、会計事務所内での事務作業が行うことができるでしょう。
そのうえで顧問先に満足していただくために、経営者の目線から税務情報の提供・経営相談のアドバイス・経理指導をすることなどの課題解決をしていくこととなります。 これはいろんな経験で培っていくものです。ひとつずつ着実に身に着けていけば問題ありません。やりがいのある仕事と思います。