令和6年分の確定申告における例年と違う7つのポイントをご紹介

2024確定申告

確定申告を実施する際には、例年と違う部分がないかを確認することが大切です。令和6年分の確定申告においても、例年と違うポイントがいくつかあります。

ここでは、令和6年分の確定申告における例年との違いを7つご紹介します。事前に内容を把握し、適切に手続きを行えるよう準備しましょう。

ポイント1.確定申告書の様式変更

令和6年分の確定申告より、確定申告書第二表の親族情報欄において、扶養親族等の氏名等を記載する欄が簡素化されました。扶養親族等の氏名を記載する欄が1行のみとなり、2人目以降は別紙に記載しなくてはなりません。

この変更により、以下のような効果が期待されます。

・プライバシー保護の強化:申告書本体に記載される個人情報が減少
・記入の手間軽減:多数の扶養親族がいる場合でも、申告書本体の記入が簡素化
・事務処理の効率化:税務署での確認作業が容易になる

また本変更にともない、e-Tax(電子申告)システムも更新され、扶養親族情報の入力方法が改善されたため、オンラインでの申告がよりスムーズになるでしょう。

ポイント2.「申告不要制度」記入欄の削除

令和6年分の確定申告では、確定申告書第二表から「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が削除されました。2024年1月1日以後に支払いを受けるべき上場株式などの配当所得、および譲渡所得等について、所得税と住民税で課税方式が統一されたことによる変更です。特定配当等や特定株式等譲渡所得に対する課税方式が統一され、選択肢が一部廃止されました。

本変更によって、以下のような効果が期待されています。

・納税者の手続き簡素化:所得税と住民税で異なる課税方式を選択する必要がなくなる
・税務行政の効率化:課税方式の統一により、自治体と国税当局の間での情報連携が容易になる
・課税の公平性向上:所得の種類による課税方式の違いが減少し、より公平な税制に近づく

ポイント3.インボイス制度対応

令和6年分の確定申告では、青色申告決算書と収支内訳書がインボイス制度に対応した様式に変更されました。青色決算書では「売上(収入)金額の明細」と「仕入金額の明細」欄が新設され、登録番号や法人番号の記入欄が追加されています。

おもな効果は、以下のとおりです。

・適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した正確な記帳が可能
・消費税の適正な課税と納税者の事務負担軽減
・取引の透明性向上と税務調査の効率化

例えば、売上や仕入れの取引ごとに、取引先の登録番号や取引金額、消費税額等を記載することが可能になりました。そのため、インボイス制度に対応した正確な記帳と、消費税の計算が容易になりました。

ポイント4.納税地の異動・変更手続きの簡素化

2023年1月1日以降、納税地の異動や変更にかかる届出書の提出が原則不要になりました。(令和6年が対象)

ただし、新たな納税地を所得税または消費税の申告書に記載しなくてはなりません。

本変更によるメリットは、以下のとおりです。

・納税者の手続き負担軽減:引っ越しや転勤時の追加的な手続きが不要に
・税務署での事務処理効率化:届出書の受付・処理業務の削減
・データの即時反映:申告書への記載により、納税地情報がシステムに直接反映

手続きを行う場合は、確定申告書の「住所」欄に新しい住所を記載し「住所等変更年月日欄」を変更するだけで、納税地の変更手続きが完了します。ただし、年の途中で住所変更があった場合は、「住所等変更年月日」欄にも記入が必要です。

納税者は住所変更時の手続きを一本化できるようになり、行政手続きをスムーズに進められます。

ポイント5.定額減税の導入

令和6年の確定申告では、定額減税(年調減税)が導入されます。この減税は、12月末日時点を基準として対象者と減税額が決定される点が特徴です。

定額減税は、物価高騰に対応するための経済施策として実施され、所得税と住民税から一定額を控除する制度です。具体的には、以下の条件を満たす方が対象となります。

・日本国内に住所がある方
・2024年分の所得税の納税者である方
・2024年の合計所得金額が1,805万円以下の方(給与収入のみの場合は2,000万円以下)

減税額は、所得税から3万円、住民税から1万円の合計4万円が控除されます。さらに、同一生計配偶者や扶養親族1人につき同額が追加で控除されます。

給与所得者の場合、原則として2024年6月1日以降に支払われる給与などから月次で減税が適用されますが、年末調整時に12月31日時点の状況に基づいて最終的な調整が行われます。

この定額減税により、多くの納税者の手取り収入が増加することが期待されています。ただし、現時点では2024年度限りの措置とされており、複数年度にわたる実施予定はありません。

ポイント6.確定申告書等作成コーナーの機能拡充

マイナポータル連携により、申告書の自動入力対象が拡大しました。給与所得の源泉徴収票、国民年金基金掛金、iDeCo、小規模企業共済掛金などが新たに対象となっています。

その結果、以下のような効果が期待できます。

・手入力の手間大幅削減:各種所得や控除に関する情報が自動入力
・入力ミスの防止:人為的なエラーの減少
・申告書作成時間の短縮:自動入力による効率化

具体的な利用方法としては、マイナンバーカードを用いてマイナポータルにログインし、「確定申告書等作成コーナー」と連携させることで、各種情報を自動取得することが可能です。また、以下の情報も自動入力されるようになりました。

・給与所得の源泉徴収票情報
・国民年金基金掛金情報
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金情報
・小規模企業共済掛金情報
・生命保険料控除証明書情報
・地震保険料控除証明書情報
・住宅ローン控除関連情報

ポイント7.確定申告期間の変更

令和6年分の所得税・復興特別所得税の確定申告期間は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までです。ただし、以下の点に注意しなくてはなりません。

・e-Taxによる電子申告の推奨:混雑緩和と感染症対策のため、オンライン申告が強く推奨されている ・早期申告の奨励:還付申告は2月17日より前でも受け付けられるため、早めの申告が推奨されている ・感染症対策:対面での申告相談は予約制を導入するなど、感染防止に配慮した運営が行われる予定

また、確定申告期間中の混雑緩和のため、各自治体において以下のような取り組みが行われる予定です。

・申告会場の分散化:大規模な会場だけでなく、小規模な臨時会場の設置
時間帯別の来場推奨:混雑時間を避けるため、時間帯ごとの来場者数の目安を公表
・オンライン相談の拡充:ビデオ通話を利用した税務相談サービスの提供

まとめ

令和6年分の確定申告では、いくつかの重要な変更点があります。申告書の様式変更により扶養親族情報の記載が簡素化され、特定配当等に関する「申告不要制度」欄が削除されました。また、インボイス制度対応や納税地変更手続きの簡略化が導入されています。

さらに、所得税と住民税を対象とした定額減税が新設され、多くの納税者にメリットをもたらします。確定申告書作成コーナーの機能拡充や申告期間の変更も行われ、手続きがより効率化しました。e-Taxやマイナポータルの活用で、正確かつ迅速な申告が期待されるでしょう。

ただし、確定申告は複雑な手続きです。税理士などの専門家に相談することで、適切な実施が可能になります。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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