弥生会計とはどんな会計ソフトなのか?特徴や機能、メリット・デメリットを解説

弥生会計

老舗会計ソフトといえる弥生会計は、多くの企業や税理士事務所で活用されています。また、最近はクラウドに対応したり、AIを活用したりするなど、時代の流れにきちんと追従している点も見逃せません。

税理士に会計業務をお願いする際には、自社で導入している会計ソフトの扱いにも精通していたほうがよいため、弥生会計のようにシェアの大きなツールはおすすめといえるでしょう。そこで今回は、弥生会計がどのような会計ソフトなのか、メリット・デメリットなども踏まえて解説します。

弥生会計とは

弥生シリーズの特徴

弥生会計とは、法人や個人事業主向けの会計ソフトです。会計ソフトとは、会計業務を効率化するためのITツールで、個人事業主や中小企業はもちろん、多くの大企業でも広く活用されています。

弥生会計は会計ソフトの中では老舗といえるツールで、2021年9月現在、登録数は250万を超えの実績を誇る安心のブランドといえるでしょう。弥生会計はクラウド型とデスクトップ型の2種類に大きく分かれ、さらに事業規模に応じて最適なサービスが選択できる点が特徴です。また、適宜バージョンアップが実施されるため、税制などの法改正に対応できる点もうれしいところでしょう。

なお、会計ソフトについては、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。

事業に必須のツール会計ソフトとは?メリット・デメリットやサービス事例を紹介

弥生会計の種類と機能

弥生シリーズ

弥生会計には、クラウド型の「弥生オンライン」とデスクトップ型の「弥生22シリーズ」という大きく2つのラインナップが提供されいます。さらにその中から、事業の規模などに応じて、最適なサービスを選択することが可能です。本章では弥生オンラインと弥生22シリーズの特徴を解説します。

弥生オンライン

弥生オンラインとはクラウド版の弥生会計のことです。Google Chromeなどのブラウザ経由で利用できるため、パソコンへのインストールが不要で、スマホやタブレットなどのデバイスでも使えます。また、パソコンが壊れたときでも、クラウドにバックアップが保存されるため安心でしょう。

弥生オンラインは、操作質問や業務相談ができるベーシックプランでも、初年度は無料で利用できる点が特徴です。また、どのプランも初年度は安価で、次年度よりプロパー価格になるのですが、契約更新の際キャンセルできます。

全プラン無料のトライアル期間が設定されているので、そちらで使用感を確かめてみるのがおすすめです。(機能制限あり)



利用料金
製品概要
製品名フリープランベーシックプラン(操作質問ができる)トータルプラン(操作質問+業務相談ができる)
やよいの白色申告 オンライン0円初年度4,000円(税抜)次年度から8,000円(税抜)初年度7,000円(税抜)
次年度から14,000円(税抜)
個人事業主用確定申告ソフト 
白色申告専用
やよいの青色申告 オンライン8,000円初年度6,000円(税抜)
次年度から12,000円(税抜)
初年度10,000円(税抜)
次年度から20,000円(税抜)
個人事業主用確定申告ソフト青色申告専用


弥生会計 オンライン
セルフプランベーシックプラン(操作質問+業務相談ができる)中小規模法人向け会計ソフト
取引や仕訳の入力、決算書作成などが可能
初年度無料
次年度からは26,000円(税抜)
初年度無料
次年度からは30,000円(税抜)

なお、弥生オンラインのおもな機能は以下の通りです。

・取引の自動入力といった基本機能 

・確定申告用の書類作成や出力機能

・クレジットカード・銀行口座との連携機能

・領収書・レシートの自動仕訳機能

・取引・残高、損益、貸借レポートの出力機能

弥生22シリーズ

弥生22シリーズは、パソコンにインストールするタイプの会計ソフトです。

パソコンにインストールする必要があるため、使用できるデバイスが制限されますが、自社の業務に合わせてカスタマイズしやすい点がメリットでしょう。そのため、法人決算にも対応した本格的な機能を搭載している点が特徴です。

弥生22シリーズも、セルフプランは初年度0円から利用できます。

利用料金製品概要
製品名セルフプランベーシックプラントータルプラン
やよいの青色申告 22初年度0円
次年度から8,000円(税抜)
初年度6,000円(税抜)
次年度から12,000円(税抜)
初年度10,000円(税抜)
次年度から20,000円(税抜)
個人事業主、中小規模法人向け会計ソフト
弥生会計 22 スタンダード初年度0円
次年度から27,200円(税抜)
初年度0円
次年度から34,500円(税抜)
初年度22,000円(税抜)
次年度から44,000円(税抜)
小規模法人(従業員5名程度)・個人事業主向けのスタンダード会計ソフト
弥生会計 22 プロフェッショナル
(2台同時利用ができる2ユーザー製品もあり)
初年度0円
次年度から36,100円(税抜)
初年度0円
次年度から45,200円(税抜)
初年度30,000円(税抜)
次年度から60,000円(税抜)
中小規模法人(従業員10名以上)向け多機能会計ソフト
部門管理や経営分析なども可能
弥生会計 22 ネットワーク初年度0円
次年度から55,600円(税抜)
初年度0円
次年度から66,600円(税抜)
初年度40,000円(税抜)
次年度から80,000円(税抜)
中小規模法人向け多機能会計ソフト
3台以上のネットワーク環境で使える

弥生22シリーズのおもな機能は以下の通りです。非常に多くの機能が提供されているため、自社の業務に合わせて活用することで、業務効率化につながるでしょう。

●導入・設定にかんする機能

・クイックナビゲータ:業務の流れをフローチャートでわかりやすく表示する

・スタートアップガイド:弥生22シリーズの使い方を音声・動画で解説

・質問形式の設定画面:質問形式で画面の設定が可能

・業種別テンプレート:さまざまなテンプレートを業種ごとに

など

●取引入力にかんする機能

・かんたん取引入力:項目を選ぶだけで簡単に仕訳ができる

・スマート取引取込:取引データを自動取り込みと仕訳が可能

・帳簿入力(現金出納帳など):簿記の知識がなくても帳簿入力ができる

・伝票入力(入金/出金/振替伝票):仕訳入力の効率化が可能

・仕訳アドバイザー:勘定項目がわからないときに質問できる

など

●集計にかんする機能

・残高試算表(月次・期間/前年対比/グラフ):残高試算表の自動集計と帳簿状の該当箇所を検索できる

・Excelへの書き出し:該当データをExcelへ出力可能

など

●個人決算・申告にかんする機能

・青色申告・白色申告(収支内訳書):確定申告用の書類をきれいに作成できる

・令和3年分所得税確定申告書B:最新の税制に合わせたフォーマットで入力可能

・e-Tax(電子申告):e-Taxデータの書き出し、および直接送信ができる

など

●資金繰りにかんする機能(弥生会計22スタンダード以上)

・資金繰り管理:預金の収支・残高を月別レポートで出力可能

・手形管理(受取・支払):手形の登録・回収状況を効率よく管理できる

など

●経営分析・予算管理(弥生会計22スタンダード以上)

・経営分析(5期比較財務諸表/損益分岐点分析/比率分析/ABC分析):経営分析を効率化し、最適な打ち手を検討しやすくなる

・予算実績管理:部門、科目別など、さまざまな角度から予実管理ができる

・キャッシュ・フロー計算書:キャッシュ・フローを可視化でき、会社の資金状況を把握しやすくなる

など

●法人決算にかんする機能(弥生会計22スタンダード以上)

・決算書作成(法人・個人):きれいで見やすい形式で決算書を作成できる

・消費税申告書(一般用・簡易課税用):消費税申告書を作成可能

・固定資産管理:取得~減価償却費の計算に至る、固定資産管理の一元管理を実現

・法人事業概況説明書:法定書類の作成を効率化する

・勘定科目内訳書:16種類に対応済み

など

参考:弥生/弥生シリーズの特徴

弥生会計の導入メリット

メリット

会計ソフトのスタンダートともいえる弥生会計には、さまざまな導入メリットがあります。どのようなメリットが得られるのか確認しておきましょう。

利用者が多い

弥生会計は、なんといっても老舗会計ソフトなので、利用している企業や税理士が多い点がメリットだといえるでしょう。そのため、税理士への業務依頼や顧問契約を検討している方には、弥生会計がおすすめです。ちなみに「やよいの青色申告」は、クラウド申告ソフトシェアNo.1ということで、50%以上という圧倒的なシェア率を誇ります。

使いやすい

弥生会計はナビ・質問形式で使い方を学べるなど、分かりやすく直観的なUIを実現している点もメリットです。そのため、ITリテラシーが低めの方にとっても、使いやすい会計ソフトだといえます。

また、バージョンアップも頻繁に実施されるため、税制の改正などにもスムーズに対応でき、ミスや抜け漏れを抑制できる点もうれしいところでしょう。さらに、弥生会計はサポート体制が充実しているので、初心者でも安心して利用できます。

業務効率化につながる

弥生会計を導入することによって、取引データの取込みや仕訳を自動化できるため、帳簿作成の手間を大幅に軽減できます。各種レポートや決算書類を自動作成できるため、コア業務に割ける時間が増え、生産性の向上を実現可能です。

また、弥生会計はAIを活用しており、使えば使うほど便利なツールに成長します。さらに、MISOCA(請求書などの発行サービス)など、さまざまな弥生サービスとの連携が可能なので、さらなる業務効率化も期待できるでしょう。

弥生会計のデメリット

弥生会計の導入を検討する際には、以下の点に留意しましょう。弥生会計のデメリットだと思われる点について解説します。

出力可能な帳簿が限定的

弥生会計で出力可できる帳簿は貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)、月次推移表の3種類だけです。よって、会社独自のフォーマットで出力できないため、購入前にどの帳簿や帳票の作成ができるか確認しておく必要があります。

特に弥生オンラインシリーズは、出力可能な帳簿が限定的なので注意しましょう。

種類が多すぎて選べない場合がある

弥生会計には今回紹介したもの以外にも、給与計算や見積もりなどに特化した製品があるなど、ラインナップが豊富です。しかし、逆に種類が過ぎて、どれを選んだらよいのか迷う方が多いのも事実でしょう。

そのため、弥生会計や税理士などに相談して、最適なプランを検討するのがおすすめです。

弥生22シリーズは定期的なバージョンアップが必要

弥生オンラインはクラウド型のため、アップデートしなくても常に最新版の機能が利用できます。しかし、デスクトップ版の弥生22シリーズは、定期的に手動でバージョンアップしなくてはいけません。

したがって、税制の改正などがあった際、古いバージョンで業務を行わないように注意する必要があります。

はじめて会計ソフトを利用する方におすすめ

会計ソフトの操作

弥生会計は利用者が多く、会計ソフトに必要な機能を網羅した定番の会計ソフトです。はじめて会計ソフトを利用する方は、弥生会計を導入しておけば安心でしょう。

また、すでに弥生会計を使っている税理士、会計事務所に依頼することで、導入、運用の最適化が実現できますので、コア業務に専念できる時間を増やすためにも前向きにご検討ください。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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