法人税の申告期限・納付期限とは?間に合わなかったときのペナルティや延長の可否なども解説

法人税の申告期限・納付期限とは?間に合わなかったときのペナルティや延長の可否なども解説

会社経営をする場合、法人税の納付が不可欠です。しかし、何らかの事情によって、納付が間に合わない場合があるかもしれません。その場合、どのようなペナルティが発生するのか、また納付期限の延長は可能なのか気になるところでしょう。

そこで今回は、法人税の申告期限・納付期限、および間に合わなかったときのペナルティや延長の可否などについて解説します。

そもそも法人税とは

法人税とは、法人の所得に対して課される税金であり、所得金額に税率を適用し、そこから税額控除額を差し引いて計算されます。法人税を納める義務のある法人には、内国法人と外国法人があり、それぞれの税率や課税所得の範囲は異なるのが特徴です。

以下では、法人税の課税対象者と課税対象となる所得を解説します。

法人税の課税対象者

法人税の課税対象者には、株式会社や合同会社などの普通法人、協同組合、一般社団法人やNPO法人などが該当します。一方、日本政策金融公庫などの公共法人については、法人税が免除されます。

法人税の課税対象となる所得

法人税の課税対象となる所得は、益金から損金を引いた金額です。益金には売上収入や土地・建物の売却収入などが含まれ、損金には売上原価や販売費、災害などによる損失などの費用や損失が該当します。

また、企業会計と税法の計算方法が異なるため、法人税の計算には税務調整が必要です。税務調整は、法人の利益と課税所得を調整し、公平な課税を実現するために行われます。

法人税は申告・納付期限を過ぎた場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティを課されることもあるため注意が必要です。

法人税の申告期限・納付期限

法人税は、具体的にいつ申告して、いつまでに納付しなくてはならないのでしょうか。ここでは、法人税の申告期限と納付期限をご紹介します。

法人税の申告期限

法人税の申告期限は、会社ごとに定める事業年度終了日の決算日から2か月以内です。各会社の決算日は、会社設立時に定款で定められています。一方、個人事業主の場合、12月31日が決算です。

日本の会社は、3月31日に決算をするケースが多いですが、法人が必ずしも3月に設定する必要はなく、いつでも構いません。ただし、繁忙期を避けて節税を考えた時期に調整することが一般的です。例えば、3月末が決算であれば、5月末までに申告しなければなりません。

法人税の納付期限

法人税の納付期限は、申告期限と同様に事業年度終了日から2か月以内です。支払時期は、中間申告分と確定申告分の2回あります。

中間申告分

法人税の中間申告分の納付期限は、各事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内です。例えば、3月決算法人ならば11月30日までに納付しなくてはなりません。ただし、直前期の年税額が20万円以下の場合、設立初年度の法人の場合は支払いが必要です。

確定申告分

確定申告分の法人税の納付期限は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。例えば、3月決算の法人の場合は、5月31日までに納付しなくてはなりません。

法人税を期限内に支払えなかった場合のペナルティ・デメリット

法人税を期限内に支払えなかった場合、以下のようなペナルティやデメリットが発生する可能性があります。

・督促や催促を受ける
・無申告加算税が発生する
・青色申告の承認が取り消される
・財産調査が入る
・財産を差し押さえられる
・融資を受けられなくなる

それぞれの内容を解説します。

督促や催促を受ける

納付期限までに、法人税の申告・納税が行われていない場合、税務署から督促状が送られてきます。電話や訪問で催促を受けることもあります。督促状は差し押さえに向けての必要な手続きであるため、通常は滞納後2週間から1か月程度で届くことが多いです。

無申告加算税が発生する

納付期限を過ぎた場合、無申告加算税が発生します。また、納期限の翌日から延滞税も加算されるため注意が必要です。さらに、意図的に過少申告していたことが明らかになった場合には、重加算税が課されることもあります。

青色申告の承認が取り消される

法人税の納付期限を2期連続で過ぎると、青色申告の承認が取り消されます。青色申告は税制メリットを享受できるため、ペナルティとしては重大です。

財産調査が入る

法人税がいっこうに納付されない場合、税務署は差し押さえに向けて財産調査を実施します。法人に換金できる資産の調査結果をもとに、差し押さえる財産を決定する手続きです。

財産を差し押さえられる

再三の督促にもかかわらず納付がない場合、法人の財産が差し押さえられます。差し押さえられた財産は現金化され、法人税の支払いに充てられる仕組みです。

融資を受けられなくなる

財産の差し押さえは、会社の信用に影響を及ぼります。そのため、株主の信用失墜や、金融機関からの融資が難しくなる可能性があるでしょう。

法人税を期限延長は可能?

法人税の納付期限を延長することは可能です。事前に申請手続きを行うことで、一般的な中小企業でも申告期限を1か月延長してもらえます。

以下で、法人税の納付期限を延長するための要件と、申請手続きについて確認しておきましょう。

延長の要件

中小企業が申告期限を1か月延長するためには、会社の定款に「定時株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に召集する…」といった記載が必要です。法人税の申告は、定時株主総会の承認を受けて決算が確定してから行うのが基本です。

したがって、定時株主総会が2か月以内に開催されない場合、申告期限までに決算が確定しないため、申告期限を1か月延長することが求められます。

申告期限延長の特例の申請手続き

法人税の申告期限延長の特例を適用してもらうためには、以下の手続きが必要です。

税務署への申請

初めて延長を適用する事業年度終了日までに、法人税の「申告期限の延長の特例の申請書」を提出しなくてはなりません。このとき、定款の写しを添付する必要があります。

都道府県への申請

都道府県税事務所へ、法人都道府県民税(住民税)および法人事業税について「申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書」を提出します。都道府県民税の提出期限は、事業年度終了日から22日以内、法人事業税は事業年度終了日までです。

市町村への申請

東京23区以外の法人は、法人市町村民税(住民税)の延長手続きが必要です。法人税の申告期限の延長が認められた法人は、法人市町村民税の申告期限も同時に延長されるため、税務署や都道府県への申請と同じタイミングで提出するのが一般的です。

法人税の期限を延長するときの注意点

税金の納期限は延長されないため、申告期限を延長した場合でも、2か月を過ぎて納税すると利子税が課されます。利子税は損金(経費)にできますが、金額は大きくなる可能性があるため注意しなくてはなりません。そのため、2か月以内に概算税額を計算し、必要に応じて事前に納税するのがおすすめです。

まとめ

法人税の申告期限は、会社ごとに定める事業年度終了日の決算日から2か月以内で、

納付期限は事業年度終了日から2か月以内です。法人税を期限内に支払えなかった場合、さまざまなペナルティ・デメリットが発生するため、期限内に納付しましょう。

ただし一定の条件を満たし、事前に申請手続きを行うことにより、申告期限を延長してもらえます。必要に応じて、手続きを行ってください。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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