多くの方がいつか直面する可能性が高い相続は、いきなり発生することも多々あります。
いざ相続が発生した際には、どの専門家に相談したらよいのか悩むことも多いでしょう。
相続税の申告が最小限に抑えられる方法を模索せずに手続きをはじめると、支払い金額に大きな差が生じる可能性があります。弁護士や司法書士、行政書士など、相続に関連する専門家はたくさんいますが、まずは「税理士」を相談の窓口として、各専門家と連携することがベストです。
今回は相続の申告が発生した方のために、相続に強い税理士の選び方などを解説します。
目次
税理士は、個人・企業の確定申告や税務、節税対策などの相談ができる税金の専門家です。そのため、相続に関する相談や相続税の書類作成を依頼する場合は、税理士がおすすめです。遺産相続や相続税の手続きを多く手がける税理士事務所を選ぶと安心でしょう。
相続の相談を税理士にする主なメリットを紹介します。
税理士に相続の相談をすると、節税アドバイスや相続税の計算をはじめ、税務署への相続税の申告手続き代行などもワンストップで実施してもらえる点がメリットです。
相続税の節税や納税の資金の確保に関する十分な知識を持っている方は少なく、実際に相続を行うタイミングになると、何から手を付けたらよいのか分からないというケースも多いでしょう。しかし、税理士であれば、相続に関する悩みをなんでも相談できるため安心です。
税理士に相続を相談するデメリットとしてまず挙げられるものは、税理士報酬が発生する点です。相続税の申告手続きを依頼する場合の税理士報酬の相場は後述しますが、一定の費用が必要になります。ただし、初回の相談は無料で実施している税理士事務所も多いため、まずは気軽に相談してみることも一案でしょう。
次に、税理士は相続の相談や相続税の申告手続きなどの実施は可能ですが、相続に関する争いには関与できません。そして、相続に関する豊富な専門知識や経験を持つ税理士が少ない点もデメリットだといえるでしょう。
相続税申告を税理士へ依頼するタイミングは、相続開始から3ヶ月以内がおすすめです。相続税の申告期限は、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内ですが、相続税の計算は複雑で非常に時間がかかります。
また、財産分与でもめるなど、トラブルが発生すると手続きに割ける期間が短くなる可能性もあるでしょう。したがって、どんなに遅くても申告期限の最低3か月前には、税理士に相続税申告の手続きを依頼しましょう。
以下で紹介するような条件に該当する方は、相続の相談を税理士へ相談するべきです。ご自身に該当するものがないか確認してみましょう。
相続人が1人の場合は、そもそも財産分与の必要がないためスムーズに手続きが行えます。しかし、相続する対象が多い場合には、手続きが複雑化する可能性が高いため、税理士へ依頼することが得策です。
相続人が複数いる場合には、遺産分割協議で全員の合意を得る必要があります。また、親族以外の方が相続に関わるケースもあり、さらに手続きが複雑化する場合も想定されるでしょう。したがって、個人で手続きを進めることは非常に困難なため、早めに税理士へ相談するべきです。
相続財産の額が「3,000万円+600万円×相続人の数」を超える場合は、相続税の納付義務が発生します。前述した通り、相続税の申告と納付期限は非常にタイトで、かつ計算が複雑なため、個人で手続きを進めることは現実的ではありません。
よって、相続額が多い場合は、相続税の申告手続きに長けた税理士事務所への相談がおすすめです。
財産の中には、不動産や貴金属、美術品など、分割が困難なものが含まれるケースもあります。預貯金などは民法が定めるルールに準拠して、明確に分割しやすいのですが、分割が難しい財産がある場合はトラブルの種になることが多いです。
遺産相続に関するトラブルが発生すると、スムーズに手続きが進まない可能性もあるので、税理士に間に入ってもらい調整を依頼するべきでしょう。
被相続人が税全に個人事業を展開していた場合などには、死亡した年の所得税を申告しなくてはいけません。そのため、相続人が代理として準確定申告を行う必要があります。
準確定申告の納税期間は、被相続人の亡くなった日から4か月以内です。会社員の方の場合、自分で確定申告を行った経験がない場合は、なかなか骨が折れる作業といえます。また、相続の手続きなどと並行して行う必要があるため、税の専門化である税理士に相談したほうが準確定申告をスムーズに進められるでしょう。
相続に強い税理士を選ぶ場合には、税理士紹介会社を活用して、第三者の目線でこれまでの実績を確認しながら、複数の税理士を比較するのがベストです。その際、以下のポイントにも留意して慎重に検討しましょう。
相続に強い税理士を選ぶ際には、まずなんといっても相続税申告の実績が多い税理士に依頼することが重要です。事務所のホームページなどを確認し、年間50~100件程度の依頼をこなす実績がある税理士だと安心でしょう。
ただし、ホームページや広告の内容をそのまま鵜呑みにするのは極めて危険なので、ある程度事務所を絞り込んだ後、実際に税理士と面談して実績を確認するべきです。
見積もりの際、税理士報酬に対する業務の内訳を必ず確認しましょう。見積もり時の金額が安くても、手続きを進めるにつれ、追加費用が発生して割高になるケースもあります。
「こんなはずじゃなかった……」という事態を回避するためにも、見積もり金額で実施してもらえる具体的な手続き内容を、詳細に説明してもらえる事務所を選ぶようにしましょう。
相続は非常にセンシティブな手続きでもあるため、依頼人自身の精神的な負担が大きくなる場合も多いです。そのため、依頼者の心に寄り添ってくれる税理士であることも、選択時の重要な検討ポイントです。
また、面談の際に実際に話をしたときに、相性が合わないと感じる税理士は避けるべきでしょう。大切な相続手続きを依頼する相手は、やはり依頼人と相性がよい方を選ぶべきです。
相続税の申告手続きが必要な場合には、手続きが複雑なため税理士に依頼したほうが賢明です。その際、税理士報酬の相場は、遺産総額の0.5~1%程度が一般的といわれています。
ただし、財産内容や相続人の数などによっても異なるため、一概にどの程度の費用が必要か明言することは困難です。また、成功報酬として別途費用が発生する税理士事務所もあるので、事前に確認しておきましょう。
相続税申告の相談をする場合は、税理士を相談の窓口として、各専門家と連携することがベストです。また、相続に強い税理士を選ぶことも非常に重要なポイントになるため、ホームページなどで過去の実績を必ず確認しましょう。その上、実際に税理士と面談を実施し、ご自身との相性がマッチするか確認することも大切です。