税理士に依頼できる業務は、経理や会計に関する業務だけではありません。経営計画の策定や補助金の申請手続きを依頼することも可能です。
そのため、税理士を有効活用することによって、多くのメリットが得られます。ただし、デメリットも若干あるため、依頼する前に把握しておくとよいでしょう。
ここでは、経営計画の策定や補助金の申請を税理士に依頼したときのメリット・デメリットについて解説します。
目次
税理士に経営計画の策定を依頼することによって、大きく以下3つのメリットが期待できます。それぞれの内容について確認しておきましょう。
税理士に依頼することによって、経営の効率化やコスト削減のためのアドバイスを行ってもらえる場合があります。
税務や会計の知識を活かし、経営計画に合わせた最適な税制や財務戦略を提案してもらえるのは大きなメリットだといえるでしょう。
また、経営計画に税金の影響を反映させやすい点もメリットです。経営計画を策定する際、売上目標を設定するだけでは、会社の利益を正確に見積りにくくなります。
税理士に経営計画の策定を依頼することにより、法人税や消費税などの税金の負担を考慮した計画を作成することが可能です。
税理士に経営計画の策定を依頼することにより、経営計画の品質が向上する効果を期待できる点もメリットです。
ほかの専門家とのネットワークを活用できる場合があるため、経営計画に関連する法律や金融、人事といった分野の専門家と連携して、経営計画の実現に必要なサポートを受けられる可能性があります。また、税理士は事業分析や市場分析のノウハウを持っているケースもあるため、経営計画に必要な事業分析や市場分析を的確に行ってもらえることもあるでしょう。
ただし、税理士が自社の事業内容や、業界の動向についても熟知していることが必須です。
経力向上計画の認定をサポートできる税理士も存在します。経営力向上計画とは、中小企業や小規模事業者が、人材育成や生産性向上などの目標を設定し、所管の省庁に認定されることにより、税制や金融などの支援を受けられる制度です。
税理士は、経営計画の作成や申請の手続きを代行できます。経営力向上計画が認定されることにより、以下のようなメリットが得られるでしょう。
・税制措置:設備投資や研究開発費などに対して、法人税や所得税の控除や優遇が受けられる ・金融支援:経営力向上計画に基づく資金需要に対して、金融機関や公的機関からの融資や保証が優遇される ・法的支援:経営力向上計画に基づく事業再編や事業承継に対して、法的な手続きや費用が簡素化される |
経営力向上計画は、中小企業や小規模事業者の経営力を高めるための有効な制度であるため、有効活用しましょう。
税理士に経営計画の策定を依頼するデメリットは、おもに次の2つです。
・コストがかかる ・自分の考えが反映されにくい |
税理士に経営計画の策定を依頼する場合、作成費用や報酬が発生します。自分で実施する場合に比べて、経営計画の策定にかかる費用が高くなる可能性はあるでしょう。
また、税理士に依頼する場合、自社の経営方針や目標が十分に伝わらないことがあります。税理士が作成した経営計画に対して、経営者自身が納得できるかどうかも重要です。
税理士に経営計画の策定を依頼するかどうかは、自社の経営状況や目的によって異なります。税理士に依頼するメリットも考慮したうえで、実施の可否を検討しましょう。
補助金の申請も、税理士に依頼できる業務です。申請業務の負担が下がるだけでなく、節税対策につながることもあるのは、税理士ならではのメリットだといえるでしょう。ここでは、税理士に補助金の申請業務を依頼するおもなメリットをご紹介します。
税理士の中には、補助金の申請に関する最新の情報や制度を把握している方も多く、適切な申請方法や時期を教えてくれる点が、依頼するメリットです。財務状況を把握し、正確かつ適切に書類を作成してもらえます。
補助金の申請には、事業計画書や収支予測書などの書類が必要です。税理士は、これらの書類を作成する際、補助金の申請要件や審査基準を考慮し、事業の内容や効果をわかりやすく説明できるようサポートしてくれます。
また補助金の申請には、認定支援機関の指導や推薦が必要な場合もありますが、税理士であれば認定支援機関として、中小企業の経営革新や事業承継などに関する支援を行える点も依頼するメリットです。
補助金の申請をする際には、税務上の影響や対策を考慮しておくことも重要です。税理士は、補助金の収入の計上時期や税率、経費の妥当性や必要性などを判断し、税負担を最小限に抑える方法を提案してくれることがあります。
せっかく補助金を活用したとしても、税負担が重くなるのはできるだけ回避したいところです。税理士に相談して、できるだけ税負担を軽減できるよう調整してもらいましょう。
税理士に依頼することにより、補助金申請手続きにおける多くの作業を任せられるため、負荷を大幅に減らせます。経営者や自社スタッフが手続きを行う場合、多くの工数を要するため、業務に支障が出る可能性は高いです。
しかし、補助金の申請業務を税理士に依頼すれば、工数を削減できるため、コア業務に集中しやすくなるのは大きなメリットだといえます。また顧問税理士であれば、社内の数字を把握しているため、スムーズに手続きが行いやすいでしょう。
税理士も万能ではないため、補助金の申請業務を依頼する際には、注意すべきポイントがあります。ここでは、税理士に補助金の申請業務を依頼するおもなデメリットについて確認しておきましょう。
補助金によっては、税理士が代行できないものも存在します。そのため、依頼前に確認することが必須です。
例えば、IT導入補助金や持続化給付金などは、オンライン申請が必須であり、税理士が代理人として申請できないため注意しましょう。なおこの場合、申請手続きの代理を依頼できる相手は、IT導入支援事業者や社労士(厚生労働省の補助金に限る)が該当します。
税理士の中には、補助金の種類や採択基準について十分な知識や経験がない場合もあり、申請書の作成や審査の対応に不安が残ることはあります。また、自社の事業内容や業界の動向についても限られた情報しか持っていない場合もあるため、事業計画書などに必要な事業分析や市場分析を的確に行えないこともあるため注意が必要です。
税理士は数値分析には強い反面、数値以外の要素を考慮した分析や提案には弱い場合があり、補助金の活用効果や事業の成長性を十分に示せないこともあります。そのため、自社業界に精通していない税理士に補助金の申請を依頼した場合は、補助金の採択率や効果が低くなるリスクに注意しましょう。
税理士に経営計画の策定を依頼するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
・税制を反映した経営計画が策定できる
・経営計画を実現しやすくなる
・経営力向上計画の認定サポートが受けられる場合がある
一方、税理士に補助金の申請業務を依頼するメリットは、以下の通りです。
・申請書類を適切に作成できる
・節税対策を提案してくれる場合がある
・申請業務の負担が下がる
ただし、経営計画の策定や、補助金の申請業務を税理士に依頼するかどうかは、自分の事業の状況や目的によって判断する必要があります。税理士に依頼する場合は、信頼できる税理士を選ぶことが重要です。
また、経営計画や補助金の申請は、単発での依頼を請け負っている事務所は少ないのが現状でしょう。しかし、月々の顧問として依頼している中で、経営計画・補助金の助言を行なってくれる事務所もあるため、対応できるかどうかについては、事前に確認しておきましょう。
税理士を探す場合には、税理士紹介ドットコムの活用をおすすめします。手数料なども一切不要で、北は北海道から南は沖縄まで、全国ご希望のエリアで税理士をご紹介することが可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。